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日本人の食事は理想的。 わたひき消化器内科クリニック 管理栄養士 綿引 眞躬

いつでも声をかけてください !

 生活形態が多様化した現在、栄養バランスのとれた食事の重要性が注目されています。臨床栄養の研究も進み、新しい食品知識があふれています。クリニックでは、料理教室や栄養教室を開催し、地域の皆様に食の知識をお伝えしてまいります。また、現在、生活習慣病のある方には、医師の指示にもとづいた個別の栄養指導もいたします。クリニックで見かけたら、ぜひ、声をかけてくださいね!

 


●長生きの秘訣は食にあり
 今や世界一の長寿国となった日本。80代・90代になっても元気なお年寄りの姿を見ると、尊敬の念を覚えますね。
 現在のお年寄りは、米飯を主食とする日本型の食生活を長く続けてきました。実は、昔の日本人の食事は、全エネルギーに対するタンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の比率が理想的なのです。健康のために望ましいP:F:C比率は、15:25:60。伝統的な日本型の食事では、タンパク質が12〜13%、脂質が20〜30%、炭水化物が57〜68%と、大変バランスのよい配分になっています。こうした食生活を続けてきたために、いつまでも元気なお年寄りがたくさんいる。それが長寿国日本の秘密です。


●若い世代に多い、食事の欧米化傾向
 ところが近年、先進国では、この食事のバランスが大きく崩れはじめています。フランスやアメリカでは1988年の段階で脂質が炭水化物を上回っています。日本も例外ではなく、食生活の欧米化により、特に若い層(40歳代まで)では脂質の割合が非常に高くなっています。現代の日本人の食事を、1998年度の日本栄養調査で分析してみると、次のようなことがわかります。

 


(1)エネルギーとカルシウムを除く栄養素については所要量を上回っている。
(2)カルシウムは、1975年の調査開始時よりずっと低い水準。学校給食を食べている期間は牛乳・乳製品が300gを越えるが、20歳以降には100g前後と少なく、カルシウム不足の原因になっている。
(3)15歳から19歳及び20歳代で油脂類・肉類の摂取が増加傾向。
(4)若い世代の緑黄色野菜やその他の野菜、海藻類、魚介類の摂取量が少ない。50〜60歳代では多い。
(5)タンパク質、脂質、炭水化物のエネルギーに占める比率をみると、脂質が26.3%と25%を超えている。
 つまり、理想的と言われてきた日本の食事も、若い世代を中心に、脂質の割合と摂取エネルギーが多い欧米型に変化しているということ。こうした食生活を続けていると、肥満を引き起こし、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の原因にもなってしまいます。
●大切にしたい日本人の食事
 時代がどんなに変わっても、元気で長生きすることが最大の幸福。お年寄り達が守り続けてきた日本型の食生活の価値を見直す時が来ています。脂質を減らし、塩分の取りすぎに注意して、栄養のバランスのとれた食事を目指しましょう。また、カルシウム補給には牛乳が一番。伝統的な日本食にミルクをプラスして、いつまでも健やかな生活を!

お料理教室も予定しています。

 






発行/萩野原メディカル・コミュニティ