「糖尿病教室」 3

わたひき消化器内科クリニック 綿引 元

■気づかないうちに進行する糖尿病


 糖尿病になっている方は、40才以上では10人に1人の割合を占め、日本だけでも実に690万人以上もいるといわれています。このように、糖尿病はけっしてまれな病気ではないことから、自分自身が糖尿病かどうかを知っておくことが大切になります。
 糖尿病になっても自覚する症状は乏しく、口渇・多飲・多尿・体重減少などの特徴的な症状が出たときには、糖尿病がかなり進行した状態と考えられます。2型の糖尿病では発症から10〜15年間無症状に経過することがあるので、中には視力が低下し眼科を受診して初めて糖尿病特有の合併症である糖尿病性網膜症による眼底出血と診断されることもまれにですがあります。
 自覚症状に乏しいことが多いことから、はじめて糖尿病と診断されるきっかけは、検診や人間ドックで尿糖や血糖の異常を指摘されることがほとんどです。

■糖尿病の診断方法は?
 一般的には、血糖値が160〜180mg/dl以上になると尿に糖が出るようになるといわれていますが、腎性糖尿のように血糖値が正常であっても尿糖が陽性の場合や、高齢者のように血糖値が高くても尿糖が陰性の場合もあり、尿糖の有無で糖尿病の有無の診断はできないことを覚えておきましょう。
 空腹時の血糖値は110mg/dl未満、食後の血糖値は160mg/dl未満であるのが正常ですが、


(1)随時血糖値200mg/dl以上が確認され た場合
(2)早朝空腹時血糖126mg/dl以上が確認 された場合

のいずれかに該当する場合に、糖尿病と診断されます。血糖値にはばらつきがありますので、確定のためには再検査が必要になります。ただし、HbA1cが6.5%以上あれば糖尿病と診断できます。さらに、正常でも糖尿病でもない血糖値の場合には、糖負荷試験が必要になり、その結果
(3)75g糖負荷試験で2時間値200mg/dl 以上が確認された場合
糖尿病と診断されます。