やなせ内科呼吸器科クリニック 循環器科 山下 恭典
今回のなんでもQ&Aには山下先生が登場。
患者さんから寄せられた循環器科に関する様々な疑問にお答えします。
■循環器科でよくある質問
Q.1 60代の男性です。最近、自宅や歩道橋の階段を上がるだけで心臓がドキドキするようになりました。家族は運動不足ではないかと言いますが、放置しても大丈夫でしょうか。
A.1 階段での動悸に関するご質問ですね。動悸とは、通常では自覚されない心臓の鼓動を自覚する状態をさします。動悸を訴えて循環器科を受診される方は多いのですが、原因は実に様々です。
動悸の原因は大きく4つくらいに分けることができます。
(1)心臓の不整脈/心臓の脈拍に乱れが生じ、それを自覚している場合。不整脈は種類が多く、治療方針は様々です。
(2)不整脈以外の心臓病/脈の乱れはないものの、なんらかの病気で心臓の機能が悪くなっていて動悸が起きるもの。原因となる心臓病は数多くあります。
(3)心臓以外の病気が原因のもの/血液が薄くなっている貧血や、脈拍が早くなる甲状腺機能亢進症、肺疾患などによって症状が出ている場合もあります。
(4)心因性のもの/ストレスなどによるもの。(1)〜(3)のものをいろいろ調べても原因がなさそうな場合は心因性が疑われます。
動悸の診断は症状の内容だけでは難しい場合も多いものです。ご質問のケースでは、病気があるかもしれないという姿勢で原因を追及すべきでしょう。まず内科、できれば循環器科の医師に相談すべきだと思います。
Q.2 38歳の主婦です。夜、布団に入ってウトウトしている時、脈が止まった感じがします。ひょっとして心臓が一瞬止まっているのでは?と不安です。心臓病の症状でしょうか。
A.2 安静時に脈拍が一拍休むような感じがしたり、一拍ぐっと胸にひっかかるような症状を訴えて来院される方も多いようです。症状の内容からは、期外収縮という心臓の不整脈が疑われます。本来、心臓は規則正しく打っていますが、次に脈拍が打つはずのタイミングよりも少し早めに脈拍が出るもので、早めに出た脈拍の場合、心臓から送り出される血液の量が少なめになるため、脈拍の強さが小さめになり、一拍休むように感じられるようです。心臓に病気がある場合はもちろんですが、病気のない心臓でも起こり得る不整脈です。本当に脈拍が一拍休んでしまう不整脈と見分けるためにも、心電図をとってみる必要があるでしょう。不整脈の場合、それが出ている時にタイミング良く心電図がとれないことも多いので、1日中の脈拍を記録するホルター心電図という検査を受けることも有用です。この種の症状では心臓に病気がなく、心配なしとされるケースもけっこう多いので、不安がらずに内科または循環器科を受診してみましょう。
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