呼吸器なんでもQ&A Vol.12 

やなせ内科呼吸器科クリニック 院長 柳瀬 賢次

健康や病気に関する読者の疑問に答えるなんでもQ&A。
今回は、寒い季節に気をつけたい呼吸器の病気と予防についてお答えします。


Q.1 そろそろ寒くなってきました。80代の父を介護していますが、どのようなことに気をつけて健康管理をしていけば良いでしょうか。かかりやすい病気やその対策などを教えてください。
A.1 高齢者が冬場にもっとも気をつけなければならないのは「肺炎」でしょう。冬場は、肺炎の代表的な原因菌である肺炎球菌などが口の中に住み着きやすくなります。インフルエンザや風邪にかかってのどや気管支の粘膜が弱くなると、それをきっかけにこうした細菌が体内に侵入して肺炎にまで進展することが多くなるのです。
 予防策としてはワクチンの接種(予防注射)が有効です。
 ワクチンには2種類あります。
●インフルエンザワクチン…最近は随分定着しています。有効期間は4ヶ月ほどですので、毎年行うことが必要です。
●肺炎球菌ワクチン…主に高齢者を対象に接種されるワクチンで肺炎球菌による肺炎を予防します。1回で5〜10年有効といわれ、インフルエンザワクチンと併用するとより効果的です。
 また、生活上の予防対策も大切です。風邪をひいた人との接触を避けるよう工夫し、風邪の流行中は人ごみに入らないなど配慮する必要があります。また、ご家庭の中に小さなお孫さんがいる場合、お孫さんが風邪をひいたら治るまでは高齢者と接触させないようにするなどの気遣いも必要になります。家族全員、風邪知らずで冬を過ごせるようがんばってくださいね!

Q.2 昨年から体調が悪く、喘息の診断を受けています。診断後はじめての冬ですが、寒い季節に、特に気をつけるべきことはありますでしょうか。
A.2 管支喘息が悪化する要因はいろいろありますが、特に冬場に注意しなければならないのは
(1)風邪などの感染症…若い方でも、気管支喘息のある患者さんはインフルエンザの予防注射を受けるようおすすめしています。また、Q.1で述べたような生活上の工夫も必要です。
(2)冷たい空気の刺激…暖房の効いた部屋から急に外に出て冷たい空気を吸うことが喘息発作の引き金になることがあります。外に出る時はマスクをするなどして防ぐ工夫をしてください。
(3)スギ花粉症…気管支喘息の患者さんには、スギ花粉症も持っている方が非常に多くいらっしゃいます。スギ花粉症は2月頃から始まりますので注意が必要です。スギ花粉症が悪化すると、気管支喘息の状態も悪くなることが少なくありません。花粉症の場合、花粉の飛散が始まる1〜2週間前から治療を開始することで症状を軽くすることができます。早めの治療が肝心なので、2月に入ったらすぐ対応できるよう心がけておくと安心ですね。もちろん、吸入薬など気管支喘息の治療薬を中断することなくしっかり継続することがもっとも大切なことです。