暮らしに役立つ 医療のおはなし 27 |
大腸癌 〜その予防と治療〜(その2) わたひき消化器内科クリニック 綿引 元
■早期癌と進行癌 大腸の壁は、腸の内腔(内側)から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(あるいは外膜)の4つの層から成り立っています。さらに、大腸壁の外にはリンパ節があり、リンパ管が走っています。癌は、最初は粘膜にできますが、やがて大腸の壁を外側に向かって深く広がっていきます。このうち、癌が粘膜、または粘膜下層にとどまっているものを「早期癌」といいます。 一方、「進行癌」は、粘膜下層を超えてさらに深く広がり、固有筋層、漿膜までおよび、さらに大腸の壁を突き破ってしまうことがあります。 大腸癌が最も転移しやすいのがリンパ節です。粘膜にはリンパ管の枝がなく、粘膜内にとどまった癌は転移の心配はありませんが、癌が粘膜下層以下に及ぶとリンパ節に転移する可能性があります。 早期癌であれば転移の可能性は低く、「5年生存率」は、約95%にも上ります。また、最近では進行癌でも治る確率が高くなり、直腸癌では癌が大腸の壁を超えていなければ、「5年生存率」は85%近くになります。(つづく) |
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |