シリーズ「糖尿病教室」 No.11

糖尿病の運動療法(その6)
 わたひき消化器内科クリニック 綿引 元

■運動の強さと時間について
 運動をする場合には、運動の強さと継続する時間が大切になります。軽過ぎる運動では効果があがりませんし、逆に、あまり頑張りすぎても、血糖や血圧を上げてしまいます。自分が最大限に行える運動の40〜60%ぐらいの強さのところで行いましょう。

運動処方のための運動強度のとらえ方
(体育科学センター資料およぴRPEより、1987、伊藤改変)
○年齢40歳代で、60%VO2max強度の運動処方の場合、自覚的運動強度は「やや楽である」であり、RPE点数だと11点、脈拍数だと130拍がめやすとなる。
■運動中に感じる「きつさ」をめやすに
 運動中に「少しきつい」「少し息がはずむ」と感じるくらいの運動の強さが適当です。息が切れてうまく会話ができない状態になったり、「きつい」「苦しい」と感じるような運動の強さは、運動療法にはふさわしくありません。
■運動中の脈拍数に注目
 運動の強さが一定になったところで運動を中止して、ただちに脈拍数を10秒間測定します。その数に6倍すると1分間の脈拍数になります。50〜60歳代の人であれば100〜120程度の強さが適当でしょう。
■少なくとも15分間は続けて
 運動をすると、血液中のブドウ糖が運動のエネルギー源として利用されます。血糖を下げるための運動は、少なくとも15分は続ける必要があります。
■脂肪を減らしたい人は
 軽い運動を長く続けましょう
 運動を開始してから15分ぐらいから脂肪が燃料として使われはじめます。肥満気味で余分な脂肪を減らしたい人は、30分から40分ぐらいの運動を続けた方が効果的でしょう。

 運動量は、運動の強さと運動を続ける時間の組み合わせで決まります。体型や血圧、運動できる時間などで運動量を決めていきましょう。




発行/萩野原メディカル・コミュニティ