循環器なんでもQ&A Vol.19 

AED
(自動体外式除細動器)
やなせ内科呼吸器科クリニック 循環器科 山下 恭典

健康や病気に関する読者の疑問に応えるなんでもQ&A。
今回は山下先生が循環器の病気に関する質問にお答えします。


Q 最近、駅や空港などに設置されているAEDとはどのようなものですか。どんな時に、どのように使うのでしょうか。また、医療の知識がない人でも使うことができますか?

A AEDとは、Automated external defibrilatorの略で、日本語では「自動体外式除細動器」と訳します。心筋梗塞などによって心室細動(心臓の筋肉がけいれんをしたような状態になり、全身に血液を送るポンプ機能を失った状態になる、生命に危険を及ぼす不整脈)になった心臓に対して、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための医療器具のことです。駅などに設置されているAEDは、自動的に患者の心電図を取り、電気ショックを使うべきかどうかをコンピュータが判断して、使用者に音声案内で指示を出すことができるような仕組みになっています。小さな鞄のような形をした装置ですが、中は写真のようになっており、機械と2枚の電極が入っています。蓋をあけると「電極を貼り付けてください」と音声ガイダンスが流れ、指示通りに貼り付けると器械が自動的に心電図をとります。電気ショックが必要だと判断されたには「スイッチを押してください」という指示が出されますので、その通りにすれば、安全に電気ショックを与えることができるようになっています。
 心室細動の電気ショックによる治療は、かつては医療従事者にのみ許される行為でしたが、2004年7月より一般市民でもAEDによる処置ができるようになりました。ここ1〜2年で急速に普及が進んでおり、人が多く集る駅や空港、ホテル、官公庁などでも見かけることが多くなってきました。今後ますます増えると予測されています。
 心室細動の応急処置は最初の10分がリミットと言われています。119番通報を受けてから救急車が到着するまでの平均時間は約6分。AEDの普及が進み、多くの人がどんな器械か知って使用できるようになれば、その6分間を有効に利用して、多くの生命を救うことが可能になります。目の前で誰かが倒れた時、生命を救う人になるか、傍観する人で終るのかは自分次第。できれば、AEDの知識を持つだけに留まらず、救命救急講習を受けるなどして、より積極的に手を差し伸べられる人になっていただけると幸いです。




発行/萩野原メディカル・コミュニティ