■いつでもon your mark 今年8月に開催された大阪国際陸上で、選手がスタートラインにつく時の合図が『on your mark』でした。残念ながら日本選手の成績は、土佐礼子選手以外は期待されたほどにはふるいませんでした。しかし、陸上をメインスポーツにしようと頑張ってきた為末選手や末続選手、鈴木選手、室伏選手らのそれまでの汗と涙は想像を超えるものであったことでしょう。そして、競技場に立つことができなかった他の多くの選手達の汗と涙もまた。結果ではなく、それまでに至る過程・プロセスが最も意味あることだと思います。彼らはまた再挑戦し続けるでしょう。
人は「気付き」によっていつでも、いくつになっても、何度でも再スタートラインに立つことができます。困難な状況は変わらなくても、その状況の捉え方を変えることによって道は開かれます(認知行動療法)。精神科医丸田俊彦氏は頑固な疼痛に対する治療スタンスとしてA patient with chronic pain(慢性疼痛を有する患者)からA person with chronic pain(慢性疼痛を有する人)へ、すなわち痛みを持ちながらも行動する、働く人間へと変容していくことの重要性を述べています。変容の過程で患者さんも家族もメディカルスタッフも成長していきます。変容の過程で併存する鬱は改善・消失します。
これは、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、鬱、リストラ、なんについても言えることだと私は思います。気の遠くなるような長い時間、祖先の血を受け継いで今日あるかけがえのない『わたし』なのですから、世間体という得体の知れないしがらみを打ち破って、もう一度、いや何度でもそれぞれのスタートラインにつきましょう。
さあ『on your mark』。