循環器なんでもQ&A |
やなせ内科呼吸器科クリニック 院長 柳瀬 賢次 健康や病気に関する読者の疑問に応えるなんでもQ&A。 今回は 瀬先生が呼吸器の病気に関する質問にお答えします。。 Q1 友人が彼と喧嘩をしている最中に急に呼吸が荒くなり、救急車を呼んだのですが、死んでしまうのではないかと凄く怖かったことがあります。病院で過換気症候群と言われましたがどのような病気ですか? A1 過労、精神的ストレス、睡眠不足、興奮などで心理的・情緒的に不安定となり、無意識のうちに急に呼吸困難とともに過換気(呼吸が深く速くなる)が起こり、全身にさまざまな症状が出現します。ときには、「パニック障害」「うつ病」「強迫神経症」などの精神疾患に伴って発症することもあります。症状としては、呼吸困難や動悸などの胸部症状が主ですが、めまい・頭痛・手足のしびれや痙攣などの神経症状、吐き気・腹痛などの消化器症状などを伴うことがあります。これらの症状は主に、過換気のために血液中の二酸化炭素CO2が減り、その結果として血液がアルカリ性に傾くことで起こります。診断のためには動脈血を採血し血液がアルカリ性に傾いているか、CO2が減っているか、酸素O2が減っていないかなどを確認する必要があります。 通常は、呼吸困難などの症状が強いわりに命にかかわる状態となることは稀です。 Q2 症状が出たときには、紙袋やビニール袋を使って呼吸すればよいのでしょうか? A2 治療を考える場合には、まず、呼吸器や心臓などの病気で過換気になっていないかを確認する必要があります。心理的情緒的な問題が原因ではなく、心不全、気管支喘息やその他の病気のために低酸素状態となり、その結果、過換気となる場合があります。こうしたときに、鼻口に袋をかぶせるのは危険なことで決して行ってはいけません。ですから、まず医療機関を受診し診断をしてもらうことが大切です。 過換気症候群と診断されていれば、意識的に呼吸回数を減らしたり、10〜20秒間息を止めたりすることを試みましょう。これで改善することもあります。この方法が成功しないときには、おっしゃるとおり紙袋やビニール袋を鼻口にかぶせて自分の呼気をもう一度吸い込むように呼吸してみましょう(袋を鼻口に完全には密着させず、外の空気が入るように少しすき間をつくった方がよいでしょう)。 症状を繰り返すときには、精神安定剤の内服が役に立つことがありますし、心療内科や精神科の受診が必要な場合もあります。 |
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |