シリーズ「糖尿病教室」 No.22

糖尿病の薬物療法(その9)
 わたひき消化器内科クリニック 綿引 元

速効型インスリン分泌促進薬

 インスリン分泌促進薬は、SU薬とグリニド系速効型インスリン分泌促進薬に大別されます。今回は、グリニド系速効型インスリン分泌促進薬について解説します。(SU薬は以前に解説しています)

 2型糖尿病はインスリン分泌反応の異常、インスリン抵抗性の増大、食後高血糖が初期から認められます。グリニド系速効型インスリン分泌促進薬の目的は、食後早期のインスリン分泌を増加させ、食後高血糖を是正することにあります。服用後短時間で血糖降下作用を発揮し、SU剤に比べて吸収と血中からの消失が早く、食後高血糖の是正によい適応です。
 インスリン非依存状態で食事療法・運動療法では十分に血糖値が下がらない場合にまず単独で使用します。本薬剤で食後血糖値が下がらない場合にはα-グルコシダーゼ阻害薬との併用を考慮します。

◆速効型インスリン分泌促進薬
この薬の特徴
1)
食直前の投与により食後高血糖の是正を図る
2) 低血糖のリスクがSU薬に比べはるかに低い
食前30分投与では食事開始前に低血糖を起こす可能性がある
3) 食後早期のインスリン分泌反応の改善を目的にするため、
毎食直前服用する
4) インスリン分泌能はSU薬に比ベ弱い
5) 著明な高血糖症例や罹病期間の長い症例には効果が少ない
6) 肝及び腎機能障害例では注意が必要
低血糖を起こすおそれがあり、慎重に使用する
透析を必要とする重篤な腎障害では、ナテグリニドは禁忌
7) SU薬との併用は効果が少ない
8) α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬とは相加効果が期待できる




発行/萩野原メディカル・コミュニティ