高齢者の場合はSU薬による低血糖、ビグアナイド薬による乳酸アシドーシス、チアゾリジン薬による浮腫、心不全、α‐グルコシダーゼ阻害薬による腸閉塞など、重篤なものも含めて副作用が生じやすいので、薬剤の投与を少量から開始するなど慎重な対応が必要になります。
高齢者では特に低血糖に注意が必要であり、遷延性低血糖を来す危険があるため、薬剤の量や種類に注意が必要です。
SU薬(アマリール、オイグルコン、グリミクロンなど)は経口血糖降下薬の中で最も強力な血糖降下作用を有しており、副作用として低血糖と体重増加に注意する必要があります。成人量の半量から、徐々に時間をかけて増量していきます。なお、オイグルコンは作用が強力で長時間持続するので、高頻度に低血糖を来たし、高齢者には不適と云えます。多剤併用機会の多い高齢者では、SU薬の血糖降下作用を増強させる薬剤(解熱・鎮痛・抗炎症薬、β‐遮断薬、ACE阻害薬など)との併用時は低血糖に注意が必要です。
高齢者は低血糖を起こしやすく、症状も乏しく、発見が遅れ危険です。また、高齢者の低血糖による異常行動は、認知症と間違われやすく、疑わしい場合はSU薬を減量するなど、家族も含めて低血糖についてしっかり理解して頂く必要があります。
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |