和食に偏らないように多国籍料理を食卓に!日本人の主な食塩摂取源は食塩そのものではなく、しょうゆなどの調味料、漬物、魚の干物などの加工食品が大半を占めています。和食に偏らないように、地中海風(ガーリック、オリーブオイル、トマト)、韓国風(トウガラシ、ごま油)、カレー風味など味付けを工夫して、おいしく減塩をしましょう。漬物をとっている人は、まず半分量に減らしましょう。調味料を工夫しましょう!野菜はたっぷりとりましょう!バランスの良い食事をとりましょう!肉、魚とも薄味で下味をつけると味が浸みて、おいしく減塩できます。煮物や汁物は、野菜、カツオ、昆布、煮干しなどのだしで旨みを出すことが大事。減塩醤油、減塩ポン酢なども使ってみましょう。野菜に多いカリウムは体内の塩分を排泄させて血圧を抑えます。果物にも多いのですが、野菜のつもりで食べすぎると、カロリー過多になり、中性脂肪が上がったりします。野菜は1日両手1杯(材料で)と言っていましたが、1.5杯は必要でしょう。食事は、主食(ご飯、麺、パンの炭水化物) と主菜(魚、肉、卵、大豆製品などのおかず)、それに副菜(野菜料理)をバランス良くとりましょう。減塩のためには、ご飯は味付きにしないこと。麺の時は、おつゆを半分は残しましょう。汁物は1日1杯にしましょう。魚の干物は塩分が多いので、生魚に下塩30分、出た水分を拭き取って焼きましょう。 野菜料理は2品あるといいですね。
高齢期にみられる「虚弱(フレイル)」※注1の重要な要素として、加齢性筋肉減少は知られていますが、加齢による性ホルモンの低下などの因子や栄養障害も関与しています。高齢期では必然的に体重は減少し体力の低下は避けられませんが、骨格筋減少ならびに相対的な内臓脂肪の増加が高齢者の身体機能の低下に関連しています。 高齢者特有の症状の1つであるサルコペニアは、以前には筋肉量の減少のみで評価されていましたが、将来の生活機能の低下は筋肉量の減少よりも筋力の低下の影響が強いことが明らかになっています。
※注1 フレイルとは 加齢に伴うさまざまな臓器機能変化や予備 能力の低下によって、軽い感染症や事故、手術 などによる侵襲に対して虚弱な状態を云いま す。厚生労働省の統計によると後期高齢者の 要介護の原因の第一位に挙げられています。
2010年に欧州の学術団体の代表が集まりEWGSOPが組織され、サルコペニアは「身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うものであり、進行性かつ全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群である」と定義されました。そして、実用的な診断基準としては筋肉量と筋肉機能(筋力または身体能力)の低下がともに存在している場合にサルコペニアと診断することを推奨しています。 サルコペニアの診断手順としては、最初に握力(男性26kg、女性18kg)と歩行速度(0.8m/秒)を測定して、両者とも低下していない場合は除外することが出来ます。ついで、筋肉量の測定をしますが、これは簡単にはできませんので、下腿三頭筋周囲径が筋肉量の指標になることから、広く採用され31cm未満がサルコペニア高齢者に多いと云われています。(表1)なお、東京大学高齢社会総合研究機構で見いだした、高齢者自身が簡便に自己評価出来る「指輪っかテスト」(図1)がありますので、利用してみてください。
EWGSOPはサルコペニアを原因別に、 加齢そのものによって起こる一次性サルコペニ アと何らかの原因で起こる二次性サルコペニ アに分類しています。(表2)二次性サルコペニ アは、①不活発な生活スタイルに基づいて起 こる身体活動に関連するもの、②慢性疾患の 臓器障害や炎症性疾患、悪性腫瘍等の疾患 に関連するもの、③胃腸疾患や吸収不良、エ ネルギーや蛋白質の摂取不足による栄養に 関連するものに分類されています。原因によ る分類はサルコペニアに対策を講じる上で重 要になります。
地域在住高齢者を対象にしたサルコペニア の頻度は、平均年齢が 75 歳前後では約 10 %程 度がサルコペニアになっています。サルコペニア に関する疫学研究は日本ではほとんどありま せんが、 65 歳以上の高齢者では、筋量を指標 老化と健康 (その5) とするサルコペニアは約850万人、筋力を 指標とするサルコペニアは約1000万人で 女性に多く、身体機能を指標とするサルコペ ニアは約200万人であり、これも女性に多 いと推定されています。 サルコペニアは骨折等の生活機能障害や認 知機能低下の発生と関連する傾向が認めら れており、超高齢化社会では高齢者の人生の 質を高める医療として、サルコペニアを早期に 察知し、その予防と治療を積極的に行うこと が求められるでしょう。
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |