高齢者糖尿病の低血糖は認知症、転倒、うつ病などさまざまな悪影響を及ぼします。高齢者の重症低血糖を防ぐために、インスリン治療やスルホニル尿素薬で治療している患者さんとその家族の方には、低血糖とその予防について知って頂くことが大切です。
現在制度上、65歳以上が高齢者とされていますが、65歳以上75歳未満の前 期高齢者と、75歳以上の後期高齢者に分けて考えられています。身体機能や認知機能が低下し、支援や介護を要する人の割合が増えてくるのは75歳以上ですので、医学的にも意味がある分け方でしょう。糖尿病の合併症である脳卒中や心不全は、高齢者の中でも80歳以上で最も多くなります。また、糖尿病の治療で起こってくる重症低血糖も同様です。(図1)重症低血糖とは、意識障害が起こり、治療をしなければ回復しない低血糖です。個人差の大きな高齢者の治療は、身体機能や認知機能などの基準により血糖コントロールの目標値を定め、より安全に行うことが必要です。
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |