喘息発作 ~その原因と対応方法~
今回は喘息発作の原因と、発作が起こってしまった時の対応方法について説明します。
気管支喘息の患者さんは、普段は症状がなく安定していても、急に喘鳴、咳、痰、息苦しさ、胸の圧迫感等の症状が出てつらい思いをされたことがあると思います。その時のことを思い出しながら読んでください。発作が起こる原因には様々なものがあり、人によっても異なります。第一は、アレルゲンとの接触です。多くの気管支喘息は気管支の粘膜でアレルギー反応が起こるために症状がでます。このアレルギー反応を起こす物質をアレルゲンと言います。ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットなどが代表的なアレルゲンです。ネコアレルギーのある喘息患者さんが、ネコを飼育している知人宅を訪問して発作を起こすこともよくあります。第二はウイルスや細菌による感染症、いわゆるカゼです。日頃患者さんを診ていると、発作を起こす原因としては最も多いと感じています。第三は気候の変動です。「テレビで天気図に台風が現れると胸が重くなったり息苦しくなったりする」とおっしゃる患者さんは少なくありません。その他、タバコの煙、ストレス・過労、運動、アルコールなど表1に示すように多くの原因があります。避けられないものもありますが、自分の努力で避けることができるものもありますので努力しましょう。
喘息発作とひと口に言っても、わずかな胸苦しさから会話もできないほどの重症まで程度は様々です。表2のように、喘鳴/胸苦しさ、軽度、中等度、高度、重篤の5段階に分類されています。「苦しくて横になれない」中等度以上の発作であれば迷わず救急外来を受診してください。 軽度以下の軽い発作の場合は、ご自分でメプチンやサルタノールのような「発作時の吸入薬」を使って対応しましょう(図1)。まず「発作時の吸入薬」を2吸入します(この吸入薬で動悸しやすい患者さんは1吸入にしましょう)。それでも効果が不十分な場合は1時間経過するまで20分おきに吸入を繰り返し、以降は1時間に1回吸入を目安にしましょう。合計3回実施して改善を感じなければ救急外来を受診する必要があります(その際、手持ちのプレドニンがあれば、医師の指示量を内服した上での受診が望まれます)。「発作時の吸入薬」で改善があり、その後も改善傾向が3~4時間続けば自宅で経過をみましょう。但し、改善したとしても病状は不安定ですので外出や不要な動作を避け自宅で安静にしましょう。入浴もしないようにしましょう。 なお、手持ちのテオフィリンがあれば併用するのも有用でしょう。
発作が起きた時、手持ちの薬を使って速やかに改善すれば安心ですが、なかなか良くならない時は救急外来を受診すべきか迷うこともあります。先に述べたこととも重なりますが、救急外来を受診すべきなのは、
①「苦しくて横になれない」中等度以上の発作のとき、
②「発作時の吸入薬」を1~2時間おきに必要とするとき、
③症状が悪化してゆくときです。
気管支喘息では、気管支の粘膜に慢性の炎症が起こっており、それによってゼーゼーしたり、呼吸困難や咳などの症状が出たりしています。炎症がくすぶっていると、ちょっとした悪化要因が加わるだけで発作を起こしてしまいます。毎日喘息治療薬を使用し、気管支の炎症をしっかり鎮め発作を予防しましょう。
発行/萩野原メディカル・コミュニティ |