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シリーズ「糖尿病教室Ⅱ」 No.1

わたひき消化器内科クリニック 医師 綿引 基

弘前大学 水泳部出身 みなと協立総合病院(名古屋市)にて臨床研修。在任中から糖尿病外来(夜診)を任され、名南病院(名古屋市)、クリニックみらい(東京都多摩市)などで糖尿病の研修を行う。

2014年7月より聖隷浜松病院に勤務、綜合診療内科を経て、現在は内分泌内科に所属し外来および入院業務に従事し、週二回の糖尿病教室を行っている。


毎月第四土曜日の糖尿病外来を担当しています綿引(基)です。今回から″大地″の糖尿病教室の記事も担当する事になりました。よろしくお願いします。

今回は新たな糖尿病教室のスタートに当たり、まずは糖尿病についての知識ではなく、私が患者さんに最初に伝えたい事を書かせていただきました。

■目標設定はされていますか?

皆さんが当院を受診してくださっている理由はなんでしょうか?また治療の目標はなんでしょうか?
 「血圧が高いから薬が欲しい」「治療しないと血管が詰まってしまうから」「孫の結婚式までは生きたいなぁ」など様々な理由があると思います。
 中には、「自分の血糖値をしっかり下げて合併症にならないように管理したい‼」という模範的な目標をお持ちの方もいらっしゃると思います。
 いきなり言われて、今まで目標を考えた事も無かった方は、まずは大きな目標を立ててみてください。
 「入院しないぐらいの治療で良いなぁ」「脳卒中で倒れた家族がいたから、自分はそうなりなくはないなぁ」「薬を減らしたい」「受診頻度も減らして医療費を抑えたい」などなど。
 それぞれの方で目標が違って当然だと考えていますし、皆さんの目標を共有させてもらいたいと思っています。

■では、その目標を達成する為にどうしましょう?

ここからが我々医療従事者(医師、看護師、栄養士など)の出番です。 その目標の為の治療の到達目標、どんな検査で経過を追うとリスクが下げられるのか、今よりどれぐらい食事や運動をがんばれば良いのかなどのアドバイスを行います。 アドバイスを実践する為に、小さな目標を立てていきましょう。

■次回の受診までの目標

大きな目標を達成する為に、次回までに出来る目標を立てましょう。 ″小さな事からコツコツと″です。 ①80%ぐらい確実に達成出来そうな、②3つ程度、③具体的な目標を積み重ねましょう。
 毎日寝る前の11時に体重をはかる。朝ご飯後に週3回は近所を15分散歩する。週6回食べている間食をメモにつけて3回に減らす。必ず具体的に時間帯や回数を明示して見える目標にしましょう。
 私は糖尿病の治療は加点方式だと考えています。もし今、自己評価が30点なら次回に50点にすれば良いのです。次回をちょっとでも良くしましょう。その先に大きな目標がきっと見えてきます。
 今回ダメだったなぁと思っていて受診したくない時もあるかもしれません。でも、受診してくだされば、次への小さな目標を立てられます。
 外来受診はいつもスタートラインです。その時までに出来てなかったら、次までに出来るようにすれば良いと思っています。

■自身の目標

毎回少しずつでも皆さんが前を向いて目標へ前進出来る外来になるように診察させていただきたいと思います。
 皆さんの受診をお待ちしています。


発行/萩野原メディカル・コミュニティ