お答えします!医療に関する素朴な疑問 

知っていそうで意外と知らない医療のこと、健康のこと。このコーナーでは、患者さんや地域の皆さんから寄せられた質問に、専門的な立場から少しずつお答えしていきます。病気のことはもちろん、生活習慣や医療制度など、身近な疑問・質問をお葉書、電子メールにてどんどんお寄せください。

■呼吸器科・内科の質問


Q. インフルエンザの予防接種をまだ受けていませんが、今からでも間に合いますか。また、接種すればぜったいに感染しないのですか。

A. インフルエンザは、毎年12月頃より徐々に増加し1〜2月に流行のピークがあります。ワクチンを接種すると2〜4週間ほどで抵抗力がつき、3〜4ヶ月間効果が持続するといわれていますので、逆算すると11月頃に接種するのが良いことになります。ただし、インフルエンザの流行が始まってからでもワクチン接種の意義はあるといわれていますので、今からでも実施されるようお勧めします。
  ワクチンの予防効果は100%ではありません。健康成人の発病予防の効果は70〜90%(ワクチンの接種をしなかった人が100人発病したとすると、その内70〜90人の発病はワクチンで予防できるということです)、お年寄りの入院予防効果は30〜70%といわれております。なお、このワクチンは普通のカゼに対する予防効果はありません。(やなせ)

Q. 禁煙に挑戦していますが、なかなか続きません。病院に行けば指導してもらえると聞きましたが、どのようなことをするのですか。また、現在病気をしていない場合、禁煙だけを目的に来院しても良いのでしょうか。

A. もちろん、禁煙だけを目的に受診されても結構です。禁煙を成功させるためには以下のことが大切で、受診の際にアドバイスいたします。
(1)喫煙の悪影響を理解すること
 喫煙は、肺ガンや肺気腫のような肺の病気の原因になるだけでなく、心筋梗塞・狭心症といった心臓の病気や、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、さらに全身の様々なガンの発生の危険性を高めます。しかも、周囲の喫煙していない人々にもこうした悪影響を与えています。経済的にも、1日20本喫煙した場合、年間91、250円の浪費となります。
(2)禁煙開始のタイミングを決めること
 喫煙の本数を徐々に減らして行って、いずれは完全な禁煙に到達するという方法は成功しないことが多く、ある日を境に喫煙本数をゼロにする方がよいと思います。誕生日やお正月、仕事の区切りがついた時など日々の生活の節目となる日を禁煙開始日として設定することが大事です。
(3)禁煙補助剤の使用。
 禁煙を始めるとイライラしたり、頭がボーッとして集中力がなくなったりします。これは、体内のニコチンの濃度が低下してくるために出る症状です。このいわゆる「禁断症状」のために禁煙を中断しがちです。禁煙補助剤は、ニコチンを補給して、苦しい「禁断症状」をやわらげてくれるため楽に禁煙ができるようになります。禁煙補助剤には、一般の薬局でも購入可能なニコチンガムと医院での処方箋が必要なニコチンテープがあります。ニコチンガムは、のどへの刺激が強いのでニコチンテープの方をお勧めします。テープのニコチン含量を徐々に減らして、2ヶ月間で終了するのが普通のコースです。ただし、ニコチンテープに関しては健康保険の適応がありませんので、2ヶ月間で2万円程度の費用がかかります。(やなせ)

■消化器内科の質問

Q. 夫が20代の時に糖尿病になり、現在も通院中。将来、子どもが同じ病気にかかるのではと心配しています。糖尿病を予防するためには、どんなことに気を付ければ良いですか。

A. 糖尿病の患者さんでは、家族に糖尿病の方を見出す率は50%位あることから、遺伝する確率が大変高い病気といっても良いでしょう。しかし、遺伝的要因とともに食事や運動など日常生活の習慣上の問題が加わって糖尿病が発生します。ですから、子供の時からの食生活、おやつなどの間食や清涼飲料の摂りすぎや運動不足に注意し、肥満対策を心がけることが大切になります。具体的には、毎日の食事は味付けを薄くすること、炒め物や揚げ物など油を使った料理ばかりでなく、煮物や蒸しものなどを取り入れること、好き嫌いをなくしバランスの良い食事にすること、おやつはしっかり時間を決めて、油を使ったスナック菓子は避けること。飲み物ではブドウ糖がたっぷり含まれているコーラやスポーツ飲料などの多飲は避けることが大切です。また、家の中でテレビゲームや漫画をみながらごろごろしていているばかりではいけません。身体を動かし、運動ができる環境を整えましょう。(わたひき)

Q. コーヒーが大好きで、毎日カップ5杯ほど飲んでいます。コーヒーは胃を荒らすということですが、ほど良い量はどのくらいですか。飲み過ぎると何かトラブルが起きるでしょうか。

A. コーヒーを多飲することによって胃が荒れ、胃の調子が悪くなるということは、しばしば起こることではありません。ただ、胃潰瘍やびらん胃炎などで胃の調子の悪いときにコーヒーを飲むと、胃にしみるような痛みを感じることがあるように、コーヒーが胃を刺激していることは間違いありません。胃潰瘍や慢性胃炎など胃の病気があるときはコーヒーの飲み方に注意が必要になります。また、コーヒーは習慣性のある飲み物ですから、自制した飲み方をするべきでしょう。特に、空腹時にコーヒーを飲む場合はブラックでなく、ミルクを多めに入れたり、ウインナー・コーヒーやカフェオレなど工夫をして、楽しみながら飲むことが大切です。(わたひき)