「糖尿病教室」 1

わたひき消化器内科クリニック 綿引 元
 
糖尿病が増えています!

 1997年の厚生省の国民栄養調査によると、わが国では糖尿病が強く疑われる人は実に690万人に及ぶことが推定されています。糖尿病の有病率は男性では50歳、女性では60歳を過ぎると10%を越え、近年わが国における糖尿病の増加は著しいものです。その原因として、脂肪摂取量の増加など摂取カロリーの過剰、運動不足による肥満など生活環境の西欧化が根底にあると共に人口の高齢化も関与しています。

糖尿病を予防するには?
 糖尿病は生活行動上の危険因子が大きく関与する疾患であり、その発症阻止にはライフスタイルの改善が必須になります。
 糖尿病の予防には、図|1のように1次、2次、3次の3段階が提唱されています。
 糖尿病管理の最終目標は、糖尿病的代謝異常を可能な限り正常に近くコントロールし、円滑な社会生活と長寿を全うすることにあります。
  わが国に多い2型糖尿病は、

(1)発症がしのびやかである
(2)肥満との関係が密接である
(3)発症者の多くは中高年である
(4)初診の時点ですでに糖尿病の慢性合併症を有している例がみられる
(5)治療の主役は食事療法と運動療法である
などの特徴に加え、大部分の症例で無自覚・無症状であることから、糖尿病の重大性について認識できず、なかなか積極的な治療が受け入れられません。
 このシリーズを始めるにあたり、糖尿病の正しい知識を身につけ、少しでも糖尿病の療養のために役立てて下さることを願うところです。