「糖尿病教室」 2

わたひき消化器内科クリニック 綿引 元
 
 糖尿病とは、食物として取り入れた栄養素が身体の中でうまく利用できないために血液の中のブドウ糖が多くなっている状態(慢性的に血糖が高い状態)をいいます。さらに、糖尿病の慢性合併症も、高血糖の程度と持続する期間に大きく依存しています。

■なぜ糖尿病になるのでしょうか?

 基本的には膵臓から出るインスリンの分泌不足とインスリンの作用不足によって糖尿病が発症します。さらに、肥満、過食、運動不足、ストレスなどの環境因子も糖尿病の発症に関与しています。具体例を挙げて説明してみます。

(1)肥満のためにインスリンがうまく作用しない人
/太りすぎると、血糖をいつも一定に保つように働くインスリンというホルモンが効きにくくなります。このためインスリンが膵臓から分泌されても、血糖を下げる働きが十分にできずに、血糖が上昇して糖尿病になります。肥満などのためにインスリンの働きが悪くなることを、インスリン抵抗性といいます。

(2)遺伝的にインスリン分泌能が低下している人/親族に糖尿病がある場合、糖尿病になりやすいということです。膵臓のランゲルハンス島の中に、インスリンを分泌するB細胞があり、食事をとると、食事に反応してインスリンが出されます。遺伝的に、この食事に反応してインスリンを分泌する能力が低下している人は、糖尿病になりやすいといえます。


(3)毎日糖分を大量にとりすぎる人
/毎日糖分を多量にとりすぎると、糖毒性という状態が身体に誘発されます。高血糖が持続すると、口の乾き、多飲、多尿、全身倦怠感などの症状が急激に出現します。ジュースやコーラなどの清涼飲料水を一日に何リットルも飲むことは控えましょう。

(4)インスリンを作る機能が破壊されている人
/インスリンを分泌する膵臓のB細胞が破壊され、インスリンがまったく出なくなる病気で、いわゆる1型糖尿病です。日本人には少なく、年間10万人に1人の割合で発症しています。