呼吸器なんでもQ&A Vol.8 

やなせ内科呼吸器科クリニック 院長 柳瀬 賢次

自分の身体のことだけど、わからないことが実はいっぱい。読者の皆さんから寄せられた内科・呼吸器科に関する素朴な疑問に柳瀬先生が答えます。

■インフルエンザについて

Q.1 インフルエンザはどんな病気ですか?風邪とどこが違うのでしょうか?
A.1 インフルエンザは、通常の風邪とはまったく異なるウイルス性の病気です。例年、1月から2月に流行のピークを迎えます。高熱と鼻水、のどの痛みなどの症状が急激に出るのが特徴で、強い伝染力を持っています。通常は1週間ほどで症状が改善しますが、体力のないお年寄り、肺や心血管系の慢性疾患を持つ方、糖尿病・腎臓病・血液疾患を持つ方などがかかると重症になりやすく、肺炎などの合併症を起こすと命にかかわる場合があるため、医療関係者の間では、「老人の最後のともしびを消す病気」と呼ばれています。市販されている風邪薬で治すことはできないので、症状が現れたらすぐに医療機関を受診してください。

Q.2 インフルエンザは予防することができますか?
A.2 インフルエンザにかからないようにすることはできませんが、ワクチンを接種することによって、感染しにくくし、また感染しても軽い症状ですませることができます。ワクチン接種はインフルエンザの大流行を防ぐ最大の対策とされています。

Q.3 どんな人が接種を受けるべきですか? 体力に自信があれば予防しなくても大丈夫でしょうか?
A.3 お年寄りやA.1に示した慢性疾患を持つ方にはワクチン接種を強くおすすめしています。お年寄りへの接種については、自治体による補助があり、負担額が軽減されていますので、医療機関や市町村役場に確認してみてください。
  また、そうした方を看護している方や、一緒に暮らしている方も接種した方が良いでしょう。さらに、仕事などでお年寄りや乳幼児、慢性疾患を持つ方とふれあう機会の多い方も、予防を心がけた方が良いことは言うまでもありません。一人一人の心がけが大流行を防ぎ、インフルエンザによる死者を少なくすることにつながるのだと言えます。

Q.4 接種を受ければ人に感染させることはないですか?
A.4 接種を受ければ感染しても軽い症状ですみますが、ウイルスの感染力そのものは変わりません。自分の症状が軽いからと職場や多くの人が集まる場所に出かけて行けば、他人に感染させてしまう可能性があります。ワクチンを接種してもかかってしまった場合は、マスクをする、症状がなくなるまで外出を控えるなど感染予防に努めましょう。

Q.5 ワクチンはいつ頃、どこで接種すれば良いのでしょうか。
A.5 流行が始まる前、11月から12月上旬にかけて接種するのがベストです。数年前までは2回接種でしたが、現在では13歳以上は1回の接種で良いことになっています。ワクチンを接種すると、2週間ほどでインフルエンザに対する抵抗力がつき、その効果は3〜4ヶ月続きます。早めに接種をして流行のピークに備えることが大切なのです。
  接種は、最寄りの医療機関で受けることができます。当クリニックでも予約を受け付けていますのでお訊ねください。