逆流性食道炎
従来から逆流性食道炎は欧米では高頻度に見られていたが、近年わが国でも増加傾向にある疾患です。以前は高齢者の食道裂孔ヘルニアに伴う食道炎が主体で、時に食道狭窄を伴い嚥下障害を来たす症例も存在していました。胸やけが主要な症状で、その診断は内視鏡検査が有用であり、食道下部、特に食道胃接合部に発赤、びらん、潰瘍などが見られます。近年、炎症所見の乏しいものも含めて胃食道逆流症(GERD)と呼ばれています。合併症として、咳や喘息などのほかに、誤嚥による気管支攣縮や嚥下性肺炎など呼吸器疾患が見られることがあります。治療はプロトンポンプ阻害剤(オメプラール、タケプロン、パリエット)が開発され、飛躍的に治療成績が向上しました。その他、H2受容体拮抗剤(ガスター、ザンタック、アシノンなど)も使用されています。日常生活上では就寝時は頭高位にするとよく、食事は脂肪食にて症状増悪する方が多いので、脂肪を制限することが必要でしょう。