■大腸癌の自覚症状
早期癌では明らかな症状を認めませんが、進行癌では約50%の人が症状を認めます。代表的な症状は「下血」や「血便」で直腸癌やS状結腸癌に最もよくみられ、しばしば痔出血と間違われます。高齢者で「便が細くなる」などの便通異常に続いてイレウス症状がみられた場合、S状結腸癌を中心にした左側結腸癌を疑います。右側結腸癌は症状が発現しにくく、軽い腹痛や腹満感など不定な腹部症状を認めるだけで、癌が大きくなってから、「腹部のしこり」や「貧血」で発見されることも少なくありません。たびたび繰り返す「腹鳴を伴う腹痛」も大腸癌の症状の一つです。
■大腸癌の検査
大腸癌の有無は次のような検査を行うことで診断して行きます。
●便潜血反応検査(検便)/便の中の血液の有無を調べます。最近では、企業や地域の集団検診などでも広く行われています。便に血が混じっていることが解ったら、さらに詳しい検査を行います。便潜血陽性の人が癌である確率は約3%です。
●注腸造影検査/肛門から大腸にバリウムを注入して、レントゲン撮影を行います。最近は、この検査を行わないで直接大腸内視鏡検査を行う病院が多くなりました。大腸狭窄がある大腸癌の場合(図-3)、内視鏡検査の前処置で大腸に穴があくこともあり、当院では大腸内視鏡検査を行う前に注腸造影検査を行うことが多いです。
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